風和通信246号

六日市と六日市カフェで思ったこと  あさうみまゆみ

六日市(ついたち市)の出店者、Kumiさんはインド木綿生地屋。初めて出会ったのは昨年末のついたち市で、「ブロックプリント」と「エコブロックプリント」の生地を購入した。「エコブロックプリント」とは「ブロックプリント」を制作する際に下敷きに使う生地。その上で何枚もの生地が作られ、染料の跡が無作為に何重にも染みつき、抽象画のように美しいものとなっている。これを買いたいと申し出たとき「なんでこんなものが欲しいんだ」と、あやしまれたらしい。インドの人にしてみれば価値無きものだけど私は「エコ」の醸し出す美が好きだし、それを見つけ出してくれたKumiさんのこともいっぺんに好きになった。


六日市カフェでKumiさんが語る話は幾つかの名言として私に刺さった。「日本では商品に値段がついているからとても楽」。インドでは多くの商品に値段がついておらず、「お前が決めろ」と投げられ、自分で物の価値を見極め、交渉し、手に入れる。価格が適正かどうかは自分の責任であり、「ぼられる(騙される)」ということ自体成立しない。そうしたことを考えず商品を入手出来る日本は楽だ。しかしそれは他人の価値観の中に生きていることを意味している。

神社で行われる市がとても魅力的なのは自分の価値観に従い生きている人と多く出会えるからかもしれない。「生きている間にいっぱい可愛いものを着て、美味しいものを食べて、後は死ぬだけ」。漫画家、詩人の故やなせたかしさんも同じような言葉を残されている。「ところであなたは?」市の後の静かな神社の境内で、その日出会った人たちのことを考えていたら、やなせさんのあのお決まりの詩の結びの一節をふと思い出した。

 

もくじ

● 六日市と六日市カフェで思ったこと  あさうみまゆみ

● 2025年5・6月の予定

● まちライブラリーの本棚から 37 つどい場お茶の実 原 美由紀

● タイからの便り 星宗果歩

● 令和7年度NPO法人風和賛助会員、協賛広告よろしくお願いいたします

● ふうわなくらし178 向井千尋

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