風和通信162号

介護される人の自由

大月 傑

 

 認知症を患う正志さん(仮名)と2人で散歩していた時、正志さんが車道の方へ行こうとしたところ、私が「こっちに神社がありますよ。行きませんか?」と誘うと、正志さんは少し考えて「あなたが行きたい所と私が行きたい所は別です。」と言われました。

 介護する人はつい先回りして「こっちへ行きましょう」と誘導したり、「そっちには行かないで」と指示しがちですが、介護される人にとっては、したくないことをさせられたり、したいことを止められると感じているかもしれません。認知症のある人も、自分の行きたい所へ自由に行きたいと思っているでしょう。

 

 とは言え、溝に落ちたり車にはねられたりしては何にもなりません。その後、私は危険を避けながら、なるべく正志さんの行きたい方へ歩けるように、正志さんのすぐ後ろを見守りながら歩きました。しばらく歩いて無事に風和へ帰りました。

 

 認知症のある人の行動が問題になる時、どうやって行動を制限するかという方向に考えられがちですが、まずその人や家族の視点で何が必要か(したいか)を考えることが大切だと思います。そして安全に行動できる社会的な支援が求められています。

彼岸花

 

 彼岸花が咲いてすっかり秋らしくなりました。お天気の良い日は、草花を愛でながらお散歩が楽しい季節です。


もくじ

介護される人の自由   大月 傑
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今月の写真    
2人は若い   横山幹史
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