大月 傑
国会のニュースを見て「みんなが一生懸命に話しているのは何のこと?」と90代半ばのトミさん(仮名)に聞かれました。「これまでは、日本が攻撃された時だけ相手に反撃する事にしていたけど、これからは仲間の国が攻撃を受けたら日本も一緒になって反撃しようと内閣が言っているんです。」と僕が言うと、トミさんは「外国に協力するのも良い事かも知らんが、私はそれには反対やな。」とはっきり言いました。
その言葉に、先の大戦と終戦後の苦難を生きて来た経験に裏付けられた、確かな意志を感じました。今、私たちは重要な判断を迫られています。子や孫たちが戦後100年を平和のうちに迎えるために、安倍内閣の戦争法案(平和安全保障法案)に賛成すべきでしょうか、反対すべきでしょうか?
この法案の理由を、アメリカ軍と一緒に反撃する事で日本を他国の攻撃から守るため、と内閣は言います。しかし、アメリカの敵国を日本が攻撃すると言えば、アメリカと敵対する国や組織の敵意を買い、逆に攻撃される危険が高まるでしょう。
戦後、日本は憲法で戦争を放棄し、軍隊を持たないと決めました。これまで70年間、アメリカ軍が日本にあっても、日本の自衛隊はアメリカや他国の戦争には参加しませんでした。そのおかげで、私たちは戦争に巻き込まれなかったのです。
戦争は、私たちの普通の暮らしを奪います。先の大戦によって、多くの子どもたちが親を失い、多くの人が身体に傷を負い、家や仕事を失いました。戦後日本の福祉は、こうした人々を救うことから始まったのです。再び戦争によってこのような苦しみをつくらないことは、福祉に携わる者にとって当然のことです。
平和とは、戦争がないだけでなく、誰もが差別や貧しさに苦しまず普通の暮らしができること。これは福祉と同じ意味です。今年、政府は介護などの福祉予算を減らして、軍事費を増やしました。これは本当に平和のためでしょうか。
本当の平和を実現したいから、私は戦争法案に反対します。30年後、子どもたちと戦後100年目の平和を見たいから、自分の言葉ではっきり言いたいと思います。
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堀川涼子 (月曜日, 28 12月 2015 19:23)
戦後100年目の平和。おっしゃる通りだと思います。
コツコツ地道に積み上げている生活を一瞬にして壊すのが戦争です。福祉に携わる者が戦争を反対するのは当然です。
さらに戦争を生み出す格差や差別や排除を無くす努力が必要ですね。