大月 傑
8月6日〜10日の4泊5日、龍蔵寺にある丹波の家・風の家に福島県から5家族18人の親子を迎えて「ささやま里ぐらしステイ2013夏」を行いました。原発事故に被災している親子の支援を目的としたこの取り組みは今回で3回目となりました。あるお母さんは事故後ずっと不眠に悩まされ、久しぶりにぐっすり眠ることができたと言われました。子どもたちは思い切り遊び、ずっと川で遊んでいる子もいました。福島県の多くの地域では、学校などで屋外活動が制限されなくなってきていますが、依然として子どもたちは放射性物質に汚染された環境のなかで暮らしています。
また、福島県などから篠山市や近隣に避難・移住されている方が集い、地域の支援者とともに交流するサロンを6月から毎月1回行っています。ある家族は、はじめ母子で避難し、家族離ればなれの生活に苦しみ、その後家族全員での移住を決意されたとのことでした。新たな住居や就職をどうするのか、移住後の生活にもいろいろな苦労があります。ひとり一人の経験や思いを聞き、改めてその多様さと大変さを思いました。
被災者、というとまず避難所や仮設住宅が思い浮かぶかも知れません。しかし、住み慣れた地域で暮らし続けている人も、新たに移住したところで暮らしている人も、ひとり一人が違った苦しみや悲しみを抱えています。被災地に居る人も、避難・移住している人も、自分の意思が尊重され、それぞれの必要に応じた支援を受けられることが大切だと思います。
昨年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」という法律にも、被災者一人一人が自分の意思で住む場所を選べるよう、どこに住むことを選んでも適切に支援しなければならない、と書かれています。しかし、今なお政府による具体的な支援策は実現しておらず、子どもたちが安全な場所で遊ぶための支援も、自主避難・移住した人のための住宅や就職への支援もほとんどありません。福島だけでなく日本全体の問題として、被災者だけでなく自分のこととして、より多くの人が関心を向けることが、小さなようでも実は最も大きな支援になると思います。
(風和通信128号より再録)